Solo Exhibition
< untitled album photo( sea, pink cap, 94) 1 > | Cプリント| 2019 名古屋のガレリアフィナルテにて、7月13日(土)から8月3日(土)まで大﨑のぶゆき個展「漂白する、現像する、そして共有する」を開催いたします。大﨑のぶゆき(おおさき・のぶゆき)は、2000年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(版画)修了し、「Haut. Mythos und Medium」(クンストハウス、ハンブルグ、2011年)、「キュレーターからのメッセージ2012 現代絵画のいま」(兵庫県立美術館、2012年)、「未見の星座-つながり/発見のプラクティス−」(東京都現代美術館、2015年)、「Noemi Weber/ Nobuyuki Osaki」(ルートヴィヒ・フォーラム・アーヘン、2017年)、「アイチアートクロニクル1919-2019」(愛知県美術館、2019年)など多数のグループ展に参加するほか、個展「マルチプル ライティング」」(YUKA TSURUNO GALLERY、2018年)、個展「HAMBURG ON HAMBURG」MIKIKO SATO GALLERY、2015年、ハンブルグ)など国内外で発表してきました。2013年VOCA佳作賞、2017年大阪市「咲やこの花賞」を受賞。2019年はブエノスアイレスでのアーティスト・イン・レジデンス(cheLA/Buenos Aires)に参加し、日系移民達の記憶についてのリサーチをおこなってきました。 自身を取り巻く世界や認識への興味から「世界の不確かさ」について表現することを探求し、独自に素材や制作方法を開発しながら「イメージが消失する」現象やその過程から、現代社会に取り巻く不確かさの感覚を視覚化するような作品を発表してきました。その不確かさや揺らぎを「未知なる可能性」として思考することから<過去/現在/未来>と行った時間概念への興味が最近の制作に現れています。また震災以降、大﨑が拠点としている大阪や愛知で予測されている南海トラフ地震について強く意識したことから、知人や周りの記憶や記録から制作するシーリズを行なっています。 拠点とする愛知での個展として約9年ぶりとなる本展は、「過去/ 現在/ 未来」という時間概念の興味と、予測不可能な災害について考えることから、個人の記憶や記録を収集し制作する<untitled album photo >の写真作品を中心に構成されます。<untitled album photo >のシリーズは、アルバム写真やスナップ写真を元に描いたイメージが溶けていく瞬間を撮影する写真作品です。Cプリントやインスタント写真で表現されるこれらの作品は、写真を元に絵画を描き、水中で流れ出す様を撮影することで再び写真になるという迂回を通し、写真や絵画の意味や構造を解体し再構築されています。またその構造は、見るものにとっての他者の記憶や思い出(アルバム写真やスナップ写真)が溶け流れることによって、ゆらゆらと漂い、鑑賞者自身の経験から想起する「新しい記憶」に再構築されるように感じます。これら両義的な作品の成り立ちは、制作される素材—Cプリントとインスタント写真という選択にも現れています。Cプリントがもつ「複数性」を、個々の記憶が「新しい記憶」として生成される構造のメタファーとして捉えること、またインスタント写真の「ユニークピース」の特性は個人の記憶はユニークピースそのものであるという複製できない価値として捉える、という逆のベクトルをなす意味をとして選択されています。様々な構造を内包するこのシリーズは、大崎がこれまでもおこなってきた両義的であり、意味や存在を固定化させず、ゆらゆら揺らぐ世界のあり方そのものを提示する試みであります。それは、溶け流れるという現象を用いる独自の表現方法により、さまざまな記憶や幾多の時間の積層として創出されます。 「相対論的スポットライト理論」という時間論について。 <プロフィール> <開催概要>
< untitled album photo( sea, pink cap, 94) 2 > | Cプリント| 2019 <Observer> | 鏡、ガラス、鏡塗料、その他| 2018 courtesy by YUKA TSURUNO GALLERY < untitled album photo > | instax(拡散現像方式印画) | 2018
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